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機械式掛け時計の分解掃除

  • 執筆者の写真: 時計店 山根
    時計店 山根
  • 11月15日
  • 読了時間: 3分

家の壁に静かに掛けられた掛け時計。

カチカチと時を刻む音は、いつの間にか日常の中に溶け込み、家族の時間をそっと見守っています。最近では電池式のクォーツクロックが多く流通しておりゼンマイ式・錘式クロックを見かける機会はめっきり減ってしましました。そのため、機械式の掛け時計が止まってしまったときでも、「電池を替えたら動くのでは?」と思う方も多いかもしれません。しかし、ゼンマイや振り子で動く昔ながらの機械式時計には、電池は使われていません。内部には、数十個の歯車や軸、バネが組み合わされて駆動しています。機械式時計には「分解掃除(オーバーホール)」というメンテナンスが欠かせません。 


機械式掛け時計

機械式掛け時計の分解掃除とは?

分解掃除とは、時計の内部を一度すべて分解し、汚れを落として新しい油を差し、再び組み立て直す作業のことです。時計の中では、歯車が常に少しずつ回転しながら、軸や金属の表面に細かな摩擦が生まれています。この摩擦を減らすために油が使われているのですが、長い年月が経つと油は乾いたり、ホコリと混ざって固まってしまいます。そのまま動かし続けると、部品同士がすり減ってしまい、動かなくなることもあります。自動車でいう「定期点検」や「車検」に当たるものと考えるとわかりやすいかもしれません。時計も時々“中のメンテナンス”が必要なのです。


機械式掛け時計の分解

機械式掛け時計の分解掃除の流れ

修理の流れを簡単にご紹介します。

  1. 点検 まず、今の状態を確認します。音の強さ、振り子の動き、針のズレなどから原因を探ります。

  2. 分解 ムーブメント(時計の内部機構)を取り出し、歯車やゼンマイを一つひとつ丁寧に分けていきます。 分解の途中では、部品の位置や動きを写真で記録しながら、後で正確に組み直せるようにします。

  3. 洗浄 専用の洗浄液や超音波洗浄機を使い、古い油やホコリをきれいに取り除きます。 細かい歯車の歯の間にまで汚れが入り込んでいることも多く、時間をかけて丁寧に行います。

  4. 点検と修理 摩耗している軸や、ゆるんだ穴の部分は新しいパーツで補修したり、ブッシュ(軸受け)を入れ替えて修正します。 古い時計では部品の入手が難しいため、旋盤などで部品を削り出して作ることもあります。

  5. 組み立て・注油 部品を元の順番に組み直し、専用のオイルを少量ずつ注します。 油の量はほんのわずかで、多すぎると埃を吸着し、かえって抵抗を増やしてしまうためそれぞれの歯車にあった量を注油していきます。

  6. 調整・仕上げ 振り子の動きや打鐘の音、針の進み方を確認しながら、バランスを整えます。 10日から1.5カ月間程度の試運転を行い、精度を確かめて完成です。


機械式掛け時計の分解掃除のタイミング

分解掃除は、7〜10年に一度を目安に行うと安心です。長年使っているうちに、油の乾きやホコリの付着で負荷がかかりやすくなります。また、「音が弱くなった」「針が止まりやすい」「時間がずれる」といった症状もメンテナンスのサインです。

古い柱時計やゼンマイ式の掛け時計は、湿気や温度変化にも影響を受けやすいもの。少しでも異変を感じたら、早めの点検をおすすめします。


山根時計眼鏡店では、機械式掛け時計・柱時計の分解掃除や修理を承っています。

長年の経験をもとに、ひとつひとつの部品を丁寧に点検し、動作確認と調整を重ねながら仕上げていきます。詳しい料金に関しては、こちらのページをご確認ください。


「止まってしまった時計をもう一度動かしたい」「祖父母の形見の時計を直して飾りたい」そんなご相談にも、心を込めてお手伝いいたします。

どうぞお気軽に、店頭までご相談ください。


 
 
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